「ニシンと数の子」と銘打っておきながらも、しばらく“身欠きニシン”の話が続いております。
今回も…そうなんです。
身欠きニシン美味しいんだもんって、全然理由になっていないですね。
さて身欠きニシンを美味しく食べるには米のとぎ汁や灰汁に一晩漬けてから調理すると、独特のいがらっぽい味わいを相当和らげることができます。
身欠きニシンの渋味はニシンの脂に含まれる不飽和脂肪酸が空気中の酸素の影響を受けて、変質したものなのです。
そして下拵えが終ったら、煮物や甘露煮などにして食べることが一般的ですね。
一方で北海道や東北地方では酒の肴として、ニシンの半生干しに味噌を付けてそのまま食べています。
ニシンを野菜と一緒に付け込んだ“ニシン漬け”は北日本の越冬の貴重な食糧であり、ニシンを昆布で巻いて煮含めた“ニシンの昆布巻き”は日本各地で広く食べられています。
過去、ニシンが沢山獲れて仕方がなかった頃、日本ではニシンを下魚(げざかな)呼ばわりしており、漁獲の大部分を身欠きや燻製に加工、値崩れしたものは肥料などにして売り捌いており、純粋に“ニシン”そのものを味わうことはあまりなかったのです。
一方で欧米諸国ではニシンを大切に扱っており、欧州の“へリング”料理は有名です。
へリングは燻製のことをいいますが、なかなか風味がある美味しい料理で玉ねぎをみじん切りにしたのを載せたりと様々な食べ方で人々に気軽に食べられています。
ニシンの身に少しだけ煙をあてただけの“キッパーズ・ヘリング”というニシン料理がありますが、ニシンそのものの味わいを存分に楽しめますが、持ちが短いのが残念です。
そのほかニシンを甘酢漬けして丸めた“ロールモップ”という料理も美味しくて有名ですが、これは生の身を使用した料理です。
ロールモップはニシンの身をワインビネガーに漬けこんで、ピクルスを芯にしてニシンの身で巻いてゆきます。
ロールモップなど生のニシンの身を食べる料理を“ハーリング”と呼ばれ、平たくいえば酢漬けにしたマリネ料理のことなのです。
オランダやドイツなどでは少し発酵したものが好まれます。
そしてとても発酵させたものが皆さんご存じですね、世界一臭気が強い食べ物「シュールストレミング」です。
生のニシンの身を缶詰内で発酵させたもので、嫌気性細菌発酵によりあの強烈な臭いが…。
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