函館上空に「MAIKAマイカ」、「ISARIイサリ」、礼文島上空に「KONBUコンブ」、房総半島南端上空に「CAVIAキャビア」、三重県上空に「ISEBIイセエビ」、沖縄沖合上空に「BASHOバショウカジキ」、「MIBAIミーバイ(クエ)」…日本各地上空に魚の名前。
何だかスパイの暗号みたいですね。
さて、この暗号は民間航空路のウェイポイント地点です。
日本国内線、国際線が日本上空を飛ぶときは、管制塔の指示に従って、自機の航法装置を使用した計器飛行で定められた航空路を飛行します。
日本上空は大変混雑していますので、勝手気ままに目的地へ有視界飛行をすることは他機とニアミス、最悪衝突事故の危機があります。
少し前までは地上に航空無線施設が日本国内に点在し、その施設を結ぶように飛行をしていました。
そのため、安全は確保されたものの航空交通の混雑を激しくなり、より安全に効率的な航法が求められました。
20世紀後半、航法技術の発展によりGPSで航法することにより直線的に航空路を飛行できるようになりました。
航空機にGPS搭載は大変画期的な技術革新で、周囲の航空機のトラフィックを管制官がモニターしながら効率的な航路の選択やショートカットが可能になり、航空機側はコックピットの計器のGPSにより自機の位置を確認しながら安全で効率的な飛行が出来る様になりました。
航空機のウェイポイントは航路の任意の地点に存在しており、自機の位置確認や飛行のナビゲーションポイントとして活用しています。
ICAO(国際民間航空機関)により、ウェイポイントの名前はローマ字5文字が規定されています。
概ね、ウェイポイントの地点名はそこの地域名が略語で使われる場合が多いですが、全く地名に関係ない名前も多いのです。
日本国内のウェイポイントの名前は、国土交通省航空局で決定されます。
ウェイポイント名は任意で付けられますので、航空路を経由する地域に縁がある名産品や人の名前、商品名などが使用されているのです。
そのため、文頭の様に魚の名前がウェイポイントに使用されています。
よく見てみると、ポイントの地域と名産の魚が一致していますよね。
なぜ、房総半島南端上空が「キャビア」なのかはよく分かりませんが…。
管制塔から飛行機への交信も「現在位置からキャビアへ直行してください」と指示が出ます。
日本の航空路ウェイポイント一覧を見てみると国交省の遊び心がかなり感じられます。
一番面白いのは福岡空港に着陸する際に設定されたコースで「NAKASU EAST RNAV ARRIVAL」というものがあります。
このコースのウェイポイントは途中「KIRIN」、「EBISU」、「LAGAR」、「MALTS」とビールの名前ばかりです。
まるで飛行機がビールを飲みながら中州の飲み屋街を歩いているみたいですね。
実際は安全に計器飛行していますが…。
世界各国のウェイポイントにも沿岸や沖合の航空路では魚の名前が沢山あります。
羽田空港に降りる飛行機に乗って、房総半島南端上空に達したら「キャビア」の上空にいると思い出していただければ幸いです!?
画像出典元:http://espace.livedoor.biz/archives/65780121.html