魚に関することいろいろ

東京・大阪 握り寿司食べ比べ(その2)


さて、前回では戦後の食料統制をきっかけに、国内の握り寿司の殆どが「江戸前」スタイルになったことを綴りました。
現在の魚は、高い鮮度を保ったままの技術とスピーディな流通網で全国を結んでいます。
そのため東京や大阪、その他の都市でも、冬の北海道のタラバガニや寒ブリなど旬の魚を寿司ネタに美味しく食べることができるようになりました。

また文化や流行は戦後以降、テレビという強力なメディアの登場で瞬時にして情報が伝播されるようになり、国内の情報格差がなくなりました。
東京は勿論、日本各地の寿司屋に於いても全国各地から新鮮な魚を仕入れており、握り寿司イコール江戸前寿司という図式に変化しました。
つまり現在では、江戸時代の様に鮮魚の保存施設もない中で鮮魚の保存技術が限られていた、当時の時代背景の江戸前寿司の狭義の定義は必要がなくなった訳です。
握り寿司は江戸前というプラットホームの中で技巧や美しさ、美味しさが生まれて今もその握り寿司の文化が受け継がれており、また現在の食文化に迎合した新しいものが誕生しているのです。

一方、古くから上品で華やかな食文化が発達している京都、大阪の近畿では、江戸前寿司が登場する遥か昔より寿司文化がありました。
東京より伝播してきた「江戸前寿司」文化は近畿の食文化に受け入れられていますが、当然独自の文化を江戸前に添えています。

長々と御託を並べてしまいましたが、兎にも角にも東京・大阪どちらの握り寿司もとても美味しいのです。
比較をすること自体が間違っていたと思ったりしましたが、2話に渡り食べ比べというテーマで大風呂敷を広げてしまったさかいに、どないいたしましょ。
いやいや、話を進めましょう。

東京の寿司はマグロの利用が多いことが特徴の一つです。
江戸時代、東京湾口にマグロがいたのでネタとして活用していた名残でしょうか。
もっとも、当時マグロは大きすぎる魚で赤身のみを醤油漬けにして、トロは腐りやすいため捨てられていた下魚の扱いでしたが…。
現在ではクロマグロ上トロが最上級のネタで、中トロ、赤身、メバチ、ビンナガトロとマグロの種類が豊富にあり、マグロが自慢というお店も結構ありますね。
江戸前発祥ですので、魚を新鮮なうちに食べてもらいたい、素材の美味しさを楽しんでもらう様にと、職人さんの技やこだわりが光っています。
新鮮なマグロや青魚、アナゴの煮付けなど非常に美味しいですね。

一方大阪の握り寿司は鯛やヒラメのなど白身魚のネタが自慢のお店が多いです。
ブリも非常に種類が豊富でブリトロ、蕪(かぶら)、ハラミ、活〆ブリ、ハマチハラミ、ハマチ、ツバスなどがあります。
そして、マナガツオやトラフグ、ハモ、ハマグリなど関西で主に食されている魚がネタになっています。
ブリの蕪を食べましたが、ネタの上に京料理の千枚漬けが載せられており、寿司の美味しさとともにお料理としての美味しさも味わえました。
また、他の魚にもボンズ醤油で味付けした大根の霙おろしが載せられていました。

まだまだ、握り寿司の文化や背景は奥が深いと感じた次第です。
ごちそうさまでした。

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