秋の味覚・秋刀魚に不漁の危機


今年の秋刀魚は小ぶりなものが店頭に並んでいます。銀色の魚体を光らせてアピールしてきますが、例年に比べるといまひとつ迫力がないように見えます。

秋刀魚は日本のものと思っていましたが、いまや中国や台湾でも人気があるようです。広大な海洋ですが、資源には限界があります。

日本の漁業は資源を大切に保護・管理しながら漁獲を進めてきましたが、外国(特に中国や台湾)では、大型漁船を繰り出して大量にかっさらっているようです。

日本は大切な秋刀魚を守ろうと中国や台湾などの国や地域と、ルール作りに乗り出すのですが・・・

水産総合研究センターでの説明によれば、2014年の北大平洋における秋刀魚の資源量は、約253万トン。2003年時には502万トンあったものが、半分になっています。

近海でサンマ漁をする日本にとって、大きな影響があります。2014年の漁獲量が約23万トン。ピークだった2008年の35万トンから、2/3にとどまっています。

この原因には諸説あります。海水温の変化説も考えられますが、どうやら外国漁船による公海での先取りが原因ではないかとの見かたが注目されています。

北太平洋の公海に生息する秋刀魚は、8月以降日本沿岸に回遊してきます。日本のサンマ漁は日本沿岸の排他的経済水域内での漁獲が大半を占めています。

しかし公海には資源管理ルールはありません。それを良いことにして台湾漁船が公海内で大量に秋刀魚を漁獲しています。2014年の漁獲量は約23万トン。世界の中で断トツ1位の漁獲量です。

中国もサンマ漁が急増しており、2014年の公海での秋刀魚の漁獲量は2012年に比べなんと!38倍以上の漁獲量になっています。

昨今の健康志向や魚食ブームに乗って、秋刀魚の消費が増えているのだそうです。

わが国では2013年の秋刀魚漁獲量が15,7千トンのうち、公海での漁獲は約8千トンしかありません。日本に秋刀魚が近づく前にごっそり獲られてしまうのだから、少なくなるのは当然ですね。

水産庁によれば、台湾や中国は1千トンクラスの大型漁船を繰り出し、サンマ漁をしています。一方日本では200トン未満の漁船でサンマ漁をしているのです。

今月(2015年9月)3日、資源管理の枠組みについて話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)の初会合を日本主導で開催しました。

参加国は日本、中国、韓国、台湾、ロシア、カナダの6ヶ国が、新たな資源管理ルールを作り、急激に許可漁船を増やさないことで合意。

漁船への発信機取付の義務化や、漁船の登録制度の導入も盛り込まれました。

水産庁は、NPFC後の記者会見で、農林水産大臣が、「適切な資源保護の主導的立場をとりたい」と話したそうです。

限りある資源の大切さは身に染みている日本ですが、果たして外国が、それも公海での新たなルールにどこまで遵守できるかが課題かもしれません。

(参考記事 2015年9月24日朝日新聞 朝刊)

 

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