鰍は魚へんに秋と書きます。訓読みすると「かじか、いなだ、どじょう」と読むのだそうです。
日本ではカジカは秋が旬です。まさに秋にふさわしい漢字ですね。
ちなみに中国では「ドジョウ」のことを指すそうです。
カジカはカサゴ目カジカ科に属する魚で、種類によって大きさはまちまちです。
日本にはカマキリ・ヤマノカミ・トゲカジカなどおよそ90種の仲間があります。
地方ではハゼ科のサカナとともに「ゴリ」「ドンコ」と呼ばれる地域もあります。
全長15㎝ほどになり、頭と口が大きくやや扁平のずんぐり体型。食べると大変おいしい魚。
日本固有種の魚で、北海道南部から南にかけて日本各地に生息します。
淡水で一生を過ごす河川陸封型を大卵型。両側回遊性の小卵型の2種類があります。
大卵型は全長約15㎝程度、小卵型は約17㎝の大きさです。
■カジカの語源と由来
「日本釈名」に「河鹿なり、山河にある魚也、夜なきてその音たかし」と書かれています。「夜なきて」とあるように、近世までは「河鹿蛙」と呼ばれる蛙と混同されていたのではないかといわれます。カジカの外見は蛙のカジカと似ていることもあり、この名がついたと考えられます。
■カジカの産卵
ハゼ科、カジカ科のサカナは流れの緩い平瀬を産卵場所に選びます。
カジカの雄は川底の石の下に産卵床を作り、メスを誘い入れ、石の天井に卵を産み付けさせます。
多くの魚は産卵後、卵の面倒を見ませんが、カジカ科の雄は産卵後卵が孵化するまで鰭で新鮮な空気を送ったり、外敵から卵を守ったりと、熱心に卵の世話をしています。
■回遊魚はどうして川と海を行き来できるのでしょう
海産魚が淡水で、あるいは淡水魚が海で生きられない理由は、外界と魚の体内の浸透圧の違いによって、各々の環境で鰓と腎臓の機能が全く逆に働くためです。
海の魚は海中では体内の水分を奪われるため、海水を大量に飲み、鰓で塩類を濾しとって排出し、腎臓で水を吸収して体内の水分を常に補給しています。
他方淡水魚は体内に多量の水分が入ってくるため、鰓から必要な塩類を吸収し、腎臓では尿を大量に作って、余分な水分を排出しています。
回遊する魚は場所に応じて鰓や腎臓の機能をまったく逆転させることができるため、海から川へ、川から海への生息が可能になるのです。
■河川魚類の生態
生活型
回遊魚(海と川を行き来する)
魚種 主な生息地
サケ(サケ科) 海
アユ(キュウリウオ科) 川と海
ウナギ(ウナギ科) 川
シマヨシノボリ(ハゼ科) 川
アユカケ(ハゼ科) 川
サクラマス(サケ科) 海
カジカ(小卵型)(カジカ科) 川の下流
純淡水魚(一生を川で過ごす)
魚種 主な生息地
イワナ(サケ科) 川の源流
アマゴ(サケ科) 川の上流
ヤマメ(サケ科) 川の上流
カジカ(大卵型)(カジカ科) 川の上流
コイ(コイ科) 川の中~下流
ウグイ(コイ科) 川の中~下流
ギンブナ(コイ科) 川の中~下流
「いさり火に かじかや波の 下むせび」 松尾芭蕉
「かも河(ガハ)の かじか しらずや都人」 与謝蕪村
「味噌汁の 味わい深き 鰍かな」 清水恵山