ヒラメを生きたまま水なしで運べる箱


青森県立八戸水産高校で、ヒラメの輸送に画期的な箱を考案しました。水産物輸送の課題であった鮮度を保ちながら輸送コストの低減が図れる方法が開発されたのです。

水産高校では2年間の研究成果で、本来なら冬眠しないヒラメをある特定の水温で冬眠させ、さらに低温の海水に入れておけば、52時間生存させることに成功。

冬眠中のヒラメを取り出し、海水に戻すと再び元気に泳ぎ回っていました。

これまでのヒラメの輸送は、海水の入った水槽にヒラメを泳がせて輸送していましたが、輸送中にヒラメのストレスが高まり、消費者の口に入るころには、活き痩せ状態に陥り、旨味も鮮度も減少した状態になっていました。

生徒はこの冬眠法を利用して、ヒラメを生きたまま鮮度の良い状態で消費者に届けたいと考えました。発泡スチロールに冬眠しているヒラメを入れ、酸素だけ注入して蓋をした状態で輸送するのです。

ヒラメは酸素があれば水がなくとも皮膚呼吸で生きています。冬眠状態ですから動くこともなく酸素量も少なくて済むというわけです。

このヒラメを入れる箱は、積水化成と宮城大学が開発しているようです。水産高校では冬眠方法は秘密と言っていますが、箱に関してはあまり秘密のあるものではないようですね。

水は入らないからこぼれる心配はないので、輸送時の酸素濃度60%の酸素注入で漏れないようにするだけの工夫でいいのかもしれませんね。

発泡スチロールだから軽くてかさばらない。イケスでの輸送から比べれば大変なコスト低減です。

実験では青森から東京築地に宅配便で送り、24時間後に海水に戻すと元気よく泳ぎだしました。この間ヒラメは冬眠状態で皮膚呼吸で暴れることなくストレスもない状態で眠っていました。

食品総合研究所が鮮度の調査やうまみ成分などを調べたところ、イケスで運んだヒラメより、鮮度や旨み成分は上回っていたといいます。

八戸水産高校の開発した冬眠誘導法によって、ヒラメ以外にもタイ・アジ・フグ・イカ・ボラ・ベラ・カワハギ・フナ・コイ・ドジョウ・ナマズなども無水輸送が可能になるようです。

県立八戸水産高校は明治42年に設立された県唯一の水産・海洋系高校です。地元の産業に貢献したいという考えから、全国一位の漁獲量を誇るヒラメに着目し、ヒラメの付加価値を高めることに成功したのです。

輸送コストもイケスから発泡スチロールの箱に変わることによって、大幅にコストダウンが図れ、ヒラメの鮮度も高いまま市場に出すことができた功績は大変大きなものだと思われます。

宅配便で鮮魚が送れるなんてこれまで考えてもみなかったことです。各家庭にお中元やお歳暮で鮮魚が届く日も近いでしょうね。楽しみです。

(このニュースは2015年7月8日放送のTBSがっちりマンデーを参考にしています)

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