夏の高級魚に「アカムツ」があります。アカムツは別名「のどぐろ」と呼ばれる高級魚ですが、夏に旬を迎える説と、冬に旬を迎える説があるようです。
アカムツという呼び名は東京湾や千葉の漁師さんの呼び名です。脂がのっている状態を「むつっこい」というので、赤くてむつっこい魚だからアカムツと名がついたそうです。
のどぐろは日本海側の北陸から山陰にかけて漁師さんが呼ぶ名前です。この魚は口の中が真っ黒なことから付いた名前です。
新潟県の佐渡や、富山、石川、山陰地方では高級魚として扱われ、高値で取引されるため、「赤いダイヤモンド」とも言われるようです。
島根県の浜田市では「ノドグロ」が浜田市のサカナに指定されています。のどぐろの産地はほかにも多数ありますが、浜田産ののどぐろは抜群の脂の乗りと、コクのある上品な甘みは国内随一の品質です。
一般的にも「のどぐろ」と呼ぶ方が、高級魚として知名度も高いようです。
のどぐろは一年を通じておいしいといわれる魚です。産卵時期は7月ごろから10月ごろですが、産卵前の夏場が脂ののり、栄養もたっぷりで刺身にするなら夏場が最適のようです。冬にも脂がのっておいしいといわれ、塩焼きや鍋にするなら冬場がいいといわれます。
鮮度の良いものならぜひ刺身で食べてみたい魚です。皮をひかず、さっと炙って焼き霜を付け、刺身で食べてください。柔らかい身と香ばしさは絶品と言われます。
煮つけも丸ごとの煮つけがおいしいのですが、お店で食べると1万円近い値段になると思います。値段に見合うだけの味は十分堪能できますよ。
塩焼きやみそ焼きもお勧めです。のどぐろの白身自体に充分な脂分と旨味があるため、必要以上に調味料を使わず、素材のうまさが引き出される逸品です。
のどぐろの干物も出回ってきました。干物でもふっくらした柔らかい身には甘みがあり、酒の肴としてもご飯の御供としても最高です。
気になるお値段ですが、小さいものでもキロ当たり2000円以上の値段で販売されています。大きなものなら優に1万円を超えるそうです。
ちなみに銀座ののどぐろ専門店で調べてみました。のどぐろのコースとして設定されていますが、価格で一番安いのが7020円、高いコースは12960円となっています。
島根県浜田市ののどぐろは、「どんちっちノドグロ」という名でブランド化しています。
長崎県対馬では「紅瞳」というブランド名で販売されています。
のどぐろのおいしさは話だけでは分かりませんよね。実際に食べてみて初めてその良さは分かるものです。しかし手は出ません。庶民の口に入るような魚ではないということです。
「のどぐろの ために炭火を 弱くする」 岡田耕治
「旅いよよ 能登ののどぐろ 焼魚」 舘岡沙緻