旅館で食べる朝ごはんって、何故にあんなに美味しいのでしょうね。
大抵、御飯にお味噌汁、塩鮭や白魚など焼き魚と玉子焼き、そして付け合わせに白菜の漬物、そして忘れてはいけないのは海苔ですね。
日本の食事で欠かしてはならない食材のうち、海苔はこれに当てはまりますね。
現在の国内で流通している海苔の主流は“板海苔”ですが、これは海から獲ってきた海苔を漉いて、簾の上に広げて紙状に乾かした「展延法:てんえんほう」が主流です。
乾かした海苔は日持ちがするという長所があります。
板海苔に火を炙ったものが“焼き海苔”、そして塩や調味料で味付けしたものは“味付け海苔”、いずれも日常生活では馴染み深いものです。
さて、板海苔は縦21センチ、横19センチを基本形とし、これを全型というサイズ、全型の板海苔10枚で「1帖(じょう)」という流通単位となります。
さらに全型を8つに等分したサイズが「おかずのり」として販売されているのです。
板海苔を干すとき、簀の方になる面はやや凹凸ができあがり、反対の面はツルツルしたなめらかな感じに出来上がります。
ちなみにどちらを表というかについてはとくに決まってはいません。
ただ、のり巻きやおにぎりを巻くとき、見栄えや飯との密着など考慮して表裏を気にする場合があるといいますが、私は知りませんでした。
そして、凹凸がある面を火で炙ると焦げやすくなるので、このときはツルツルの面から炙ると焦げを防ぐ事ができるそうなんです。
さてさて海苔の歴史は非常に古く、奈良時代初期に編纂された「常陸国風土記」にてヤマトタケルがまつわる記述で海苔について描かれています。
この時代の都だった“平城京”では、海藻を売る「にぎめだな」、海苔や昆布を佃煮にして売る「もはだな」という市場があったそうです。
その頃から日本の食卓では海苔があることが根付いており、10世紀には源順(みなもとのしたごう)が記した「和名類聚抄」や「うつほ物語」では海苔について詳しく書かれています。
しばらくは海から獲ってきた“生海苔”が主流だったのですが、江戸時代になると海苔の養殖技術が生まれます。
それと同時に加工技術も生まれ、紙の製法で海苔を広げて乾燥させた板海苔が誕生します。
画像出典元:http://mama-connoisseur.com/nori-eiyou-kouka