前回、サンマの生息について解明されていないことが多々あることを綴りました。
日本人にとって秋の味覚の代表である大変馴染みの深い魚ですが、その一方でサンマはどこでいつ生まれて育つのか、そしてどのような経路で日本付近に回遊してくるのか、まだ解らないことが多すぎます。
日本近海をはじめ、サンマが生息している北太平洋ではいつも生まれたばかりの稚魚が存在するので、どこで生まれたのか正確に特定することができないのです。
独立行政法人水産総合研究センターでは調査船を用いて北太平洋の広い範囲で調査を行い、サンマの分布を正確に割り出すことを行いました。
漁期の8月下旬以降になると北海道から東北にかけての沿岸にサンマの群れが回遊しますが、その直前の7月、つまり漁期前はどこにサンマがいるのでしょうか。
これまでの通説は日本列島から近い東の沖合を通過して北上してゆき、秋になると日本列島を沿うように南下してゆくということでした。
しかし実際に北太平洋の広い範囲でサンマの生息調査をすると、7月のサンマは日本付近に存在するものは大変少なかったのです。
サンマが最も多く観測された場所は、本州から1,000キロ以上も離れた東の海域(東経155度)付近でした。
つまり、夏は日本から遠く離れた東の太平洋を北に向かって回遊をして、秋になると日本列島に接近して南下をするのです。
ちなみに、2007年に行った調査では日本沿岸から東経160度までの間のサンマ分布が非常に少なかったのですが、秋の漁期の頃には例年並みの順調な漁獲量が確認されました。
これらの調査の際、サンマの資源は500万トン以上800万トン未満と推測されています。
この東経155度付近は日本の排他的水域に及ばない公海上のため、様々な国の漁船が操業しておりサンマの総資源量の5~11%が漁獲されていると推定されています。
サンマを漁獲している主な国は日本、台湾、韓国、ロシアですが、総漁獲量の半分以上は日本が占めています。
水産総合研究センターではサンマの分布調査以外にも、採集したサンマの大きさや年齢、体内の卵の状態を調べて、海ではサンマがどれくらいの速さで成長して何歳で卵を産むのか、そして産卵後の生存率など日々の生活についても調べています。
調査船による海上調査以外でも、サンマの卵を集めて飼育をしてふ化した稚魚の観察や、産卵を行えるまでの成長、卵を産む数など調査を行っています。
画像出典元:http://momomamablog.pink/archives/4879.html