雨とイワシ


ここ数年、激しい夏の夕立に対して「ゲリラ豪雨」と呼ばれるようになりました。
スコールの様な雨の降り方に、日本は亜熱帯になってしまったのかと思う程です。
先日、私が居住している横浜市内にて1時間に70ミリ以上という猛烈な雨が降りました。
運悪く、降りはじめる直前に所用で出かけたため、この超・豪雨をもろに受けてしまいました。
道路は冠水し、吹き付ける雨に対して傘は何の役にも立たず、ずぶ濡れで雨宿りができる場所を探していました。
何とか屋根のあるところに雨宿り出来たものの、滝の様な雨は一向に止む気配もなく、雨樋は上から水がオーバーフローしている有様でした。
さて人に限らず、魚も豪雨によって迷惑を被る事象が少なからず存在します。
大きい河川に接続している湾内に生息している魚が大雨直後、大量に死亡していることがあるのです。
大雨により大量に河川から流れ込んだ淡水により湾内の海水の塩分濃度が下がってしまい、ここで生息している魚たちは逃げ場を失ってしまいます。
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その一方で、大雨が魚にとって大きく役立つことがあります。
千葉県銚子市は犬吠埼の沖合に有名なイワシの漁場がありますが、この漁場の近場には利根川の河口があります。
銚子で獲れるマイワシはとても良質で、春以降に獲れるものは「大羽イワシ」と呼ばれており身に脂が非常によく乗っています。
マイワシのさっぱりとした味わいと、脂の濃厚な旨さと甘さが口の中に渾然一体となって押し寄せます。
大雨が降ると利根川から大量の淡水が注ぎこまれるため、漁場付近に生息しているイワシは沖合や深みに退避します。
そのため大雨当日や2、3日後は全くイワシが獲れませんが、1週間ほど経過すると急激にイワシの漁獲量が増えます。
これは利根川から流れてきた淡水と共に大量の栄養塩類が流れてきます。
この栄養塩類はイワシが大好物な植物性プランクトンを繁殖させる働きがあるのです。
すると付近に生息しているイワシがこの漁場に向かって押し寄せて来るのです。
この様なイワシのメカニズムは明石海峡でも観測されています。
明石海峡もイワシが沢山獲れる産地のひとつですが、漁期の夏に於いてイワシの漁獲高と雨量は密接な関係があることが判明されています。
漁機関の間が500ミリ以下の降水量の場合、イワシの漁獲量が平均の半分以下だったことがあるそうです。
そして秋になると、南の海より東北三陸地方に向けて小羽イワシが北上してきます。
この小羽イワシは前年冬の高知県の降水量と密接な関係があるのです。
高知県で降水量が多いと海の中に餌が増えるため、イワシの子がよく育つのです。
厳しい夏に雨が降らなければ秋に収穫を迎える植物が枯れてしまいます。
言わば「恵みの雨」ですが、陸上に限らず魚にとっても大切な存在であるのです。
画像出典元:http://eitarouzushi.blog39.fc2.com/blog-entry-172.html

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