サッパ(拶双魚)
サッパは初夏から晩秋にかけてが旬の魚です。サッパは東北地方以南から黄海、東シナ海沿岸にかけて分布し、汽水域に群れを作って生息しています。
4~6月が産卵期で、初夏には大群で河口に押し寄せ、内湾で産卵します。
瀬戸内海沿岸や有明海沿岸を中心に、刺し網漁や投網漁で漁獲されます。
サッパは漢字で書くと「拶双魚」と書きます。又、鯯(魚偏に制)とも書きます。ニシン目ニシン科ニシン亜科に分類されます。体長は10~20㎝ほどで、体型は木の葉のように平たく、背なかより腹が出ています。
コノシロに外見や生息域が似ています。サッパと云う名の由来は淡白でさっぱりしている味に由来します。
関東ではサッパと呼ばれますが、地方ではサッパと云うほうが分かりずらいのではないでしょうか。
瀬戸内海地方では「ママカリ」、広島県や香川県では「ワチ」、関西では「ハラカタ」、佐賀県では「ハダラ」と呼ばれる魚です。
全国的にはどうかわかりませんが、西日本では「ママカリ」というと知名度の高い魚で通っています。
岡山県の特産で甘酢に漬けたサッパを「ママカリ」と呼んでおり、旅行者の土産にもよく使われることで有名です。旅館などでは必ずママカリが出されます。
ママカリの由来はご存知の方も多いでしょう。ママカリでご飯を食べると、食が進み過ぎ隣家からご飯を借りてこなければならないほどおいしいことに由来します。
サッパは塩焼きや空揚げ、酢締めや刺身としてもおいしく頂けます。とてもおいしい魚ですが、中でも酢締めにすると小骨が気にならず、美味しい惣菜になり、寿司ネタとしても好まれています。
サッパを釣った人の話ですが、サビキでたくさんのサッパを釣って持ち帰り、調理して食べた時の話では、鱗が硬くて包丁さばきにひと苦労したようです。
塩焼きで食べると大変おいしかったらしく、ほかのサッパを刺身でも食べたのですがこれも大変おいしかったそうです。残りは「ママカリ」にしたようですが最高の味だったようです。(味は人によっても感じ方は変わります。あくまでも参考までに。)
サッパにはビタミンA、D、B12などが含まれています。ビタミン類が皮膚や目、体の粘膜を維持します。また、骨や歯の生育を促し、筋肉の疲労も防ぎます。
不飽和脂肪酸は動脈硬化や高血圧を予防し、アレルギー症状なども緩和してくれます。血栓症を予防したり、記憶力や学習能力も高める効果があります。
殆どの魚には人間の健康に必要な栄養素をふんだんに含んでいます。美味しく食べて大切なタンパク源も補給できるのです。
一年を通して魚は食べることができます。魚屋さんの威勢のいい声に耳を傾けてはいかがでしょうか。