海苔を炙ったとき、たちまち表面の色は鮮やかな緑色に変わりますね。
これは海苔に含まれる色素が変化するためなのです。
海苔には“フィコエリスリン”という紅紫色の色素と“フィコシアン”という青い色素、そして葉緑素が含まれているのですが、このうちフィコエリスリンは熱せられると青いフィコシアンに変化します。
そのため海苔を炙ると赤紫色が消えて、同時に葉緑素の鮮やかな色が現れて緑色に変わるのです。
そして長期間使わずに置かれている海苔は嫌な茶色をしていますが、これは葉緑素や青色のフィコシアンなどが分解してしまっているので、そのような海苔は炙ってももう綺麗な緑色にはなりません。
この反応は日光に当てると10日程で起こり、また湿気があると更に早く進行します。
そのため、海苔は湿気を呼ばないように密閉して暗所に保存しなければならないのです。
湿気を含んでシナシナになった海苔は美味しくないですしね。
海苔の成分を分析すると40%程の炭水化物と30%以上のタンパクが含まれていますが、これは海藻類では驚くことなのです。
コンブやワカメなどほかの食用海藻は見かけ上20%程度のタンパク質が含まれていますが、あくまでもこの数値は簡易な検査で測定した「粗タンパク質」というもので、精密に調べてみると本当のタンパク質はごく僅かにしかないことが確認できます。
ところが海苔のタンパク質は見かけ上ではなく、実際にそれだけ含まれているのです。
このタンパク質含有量が多い海藻は海苔以外にアオサも同様で、しかもこれらのタンパク質はコンブやワカメと比べて比較にならない程の“消化の良さ”があるのが特徴です。
そして乾海苔のなかでも良質ないわゆる“高級品”ほど、多くのタンパク質が含まれているのです。
さて海苔のいい香り、食欲を一層促進させますね。
炊き立ての熱いご飯をおにぎりにして、パリパリの焼き海苔を巻くときといったら、もう思い出すだけでも幸せな気分になります。
あの香りなのですが、実は海苔そのものではないのです。
海苔を摘むときに混ざるアオサやアオノリなどの他の海藻が微生物に分解されることによって、あの磯のような香りが発せられるのです。
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