平塚漁協が取り組んだ第6次産業の布石 その9

前回からの続きです。
湘南に“地元の魚”を使った飲食店を展開することを計画していた会社、ロコロジが平塚に決めた理由でしたね。

ロコロジ代表取締役常盤氏は食堂の設置候補を“平塚”と“藤沢”に絞っていました。
藤沢は全国的に有名な江ノ島、マリンスポーツやマリーンレジャーなど観光やレジャーで沢山の観光客が訪れ、古くから“湘南”のイメージリーダーとして君臨しています。
そして近年では江ノ島近くの片瀬漁港で水揚される“シラス”を使った丼や料理などがメディアを通じて広く有名になり、シラス料理を食べに来た大勢の観光客が押し寄せているのです。
元々観光地の藤沢は放っておいても観光客が来るので、販売力は物凄くあり、朝市など開催しても人々は集まります。
集客力があるので、地産地消を謳って飲食店を開いたところでも、地元産業と協力しなくても単独で魚を売り捌けることもでき、自身の会社の社是でもある“漁港・地元の流通再構築”ということは藤沢では必要がないことが判ったのです。
そして一方の平塚は、藤沢と茅ヶ崎に比べて“湘南”という観光地の様な強い集客力が低いのですが、これからの伸びしろが十分に期待できたのでした。
平塚漁協が思っている“地元の魚をもっと知ってもらう”という思いはココロジも同じで、両者ともに同じ方向性の課題がありました。

さて両社が協力関係に至るまでについて。
2010年にロコロジが平塚駅前に“紅谷町BQバール”というダイニングバーを開店したことがきっかけでした。
当店は地元の人たちが気軽におしゃべりをして食事やビールを愉しむというコンセプトの飲食店で、食材は地元の新鮮な野菜や魚を提供します。
その日に水揚された魚をシェフが思い思いの料理を造るスタイルの店は、手軽な値段で美味しいものが楽しめると開店早々から人気を博していました。
紅谷町BQバールで使う魚は平塚漁協で水揚したの魚を卸しており、このお店に強い関心があったのです。
そしてロコロジが“地元平塚の魚を使ってゆく”という話が平塚漁協の耳に入り、同じ志を持っている両者は話し合いを進めてゆき、遂に「平塚漁港に食堂をつくろう」という構想に至ったのでした。
画像出典元:http://murakamitakeyoshi.blog122.fc2.com/blog-entry-1823.html

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