去る9月19日、福岡市中心部の海でちょっとした騒ぎがありました。
福岡市東区・人工島アイランドシティの近く、博多湾に流れ込む香椎川の河口に夥しいほどの魚の群れが押し寄せたのです。
水面は真っ黒になるほどの魚の群れ、これをみて驚いた通行人から沢山のツイートがありました。
そしてツイッターで知った釣りファンたちは、急いで香椎浜に集結してコノシロ釣りに勤しんだようです。
釣り糸を垂らせばすぐに掛かって、まさに入れ食い爆釣り状態。
なかには釣り竿は使わず、網でごっそり掬う猛者もいたとか、いないとか。
さて、この香椎浜に押し寄せた魚の群れの正体は“コノシロ”で、5万尾の魚が観測されたとのことでした。
コノシロは内湾河口付近で群れになって生息しており、大規模な回遊は行わず生涯を通じて生息域が大きく変わることがない魚です。
群れで生活している魚ですが、水面が真っ黒になるまでの大群は非常に珍しいことで、何故そんな状況になったのかというと…
コノシロが香椎浜に押し寄せる前日に台風18号が福岡市を接近したため、潮の流れが変わり、どうやら餌となる動物性プランクトンを追いかけて、コノシロの大群が香椎浜河口まで押し寄せたのではないかと見られています。
そのほか、今年の博多湾の海水温は例年よりも高く、コノシロたちは比較的水温が低い河口付近に集まったことも考えられますが、今のところはっきりとした原因は判らないとのことです。
コノシロといえばニシン科に属する魚で、出世魚として広く知れ渡っていますね。
酢との相性がとてもいいので“光りモノ”の代表で、江戸前寿司では欠かせない寿司ダネのひとつです。
とはいえ寿司ネタで需要があるのは5センチ程度の“シンコ”、10センチ程度の“コハダ”で、東京では小さいものほど商品価値が高く、初物のシンコはキロ単価数万円に達することもあるそうです。
成魚サイズのコノシロは唐揚げや塩焼きなどに使われますが堅い小骨が多く、焼いたときの「死人を焼くような臭い」ともいわれる強い臭いがあるので流通されずに地元で消費されることがほとんどで、また成魚の多くは肥料や飼料などに加工されています。
うーん、コノシロの酢漬けが食べたいです…