マイワシ生息数を読む その6


さてマイワシサスペンス劇場、佳境に入って参りましたよ。
盛り上がっているのは、作者の私だけという噂が聞こえてきますが、気のせいですよね!?
マイワシの1988年の史上最高水揚げ量が一転して、翌年以降はさっぱり捕れなくなってしまったことの原因について、当時の水産関係者が様々な仮説を立てて検証していることについて綴りました。
産まれたばかりの仔魚が餌を食べることが出来なかったため起こった初期減耗という説が有力視されていましたが、実際は日本近海に生息するマイワシのふ化した仔魚数は豊漁期と変わらない数字だったのでした。
つまり初期減耗は起きていていなかったのです。
特定の魚種が大きく減少することについて、1914年にノルウェーの資源研究者は魚類の初期ステージに於いて餌など外的な要因により不都合があるという“魚類資源変動節”が50年以上に渡って定説とされていました。
つまり、1989年のマイワシの資源減少は“魚類資源変動”のメカニズムを覆す、大きな出来事だったのです。
さて、このときマイワシには何が起きていたのでしょうか。
暫くして解明されたことは、ふ化直後から初期仔魚期を経過して体長が10㎜になった頃に大量減耗が起き始めていることでした。
10㎜の大きさといえば、シラス干しで我々も見知っている姿ですね。
この10㎜サイズから成魚の姿に変態する30㎜になるまでの間にマイワシ稚魚の大量減耗が起きているのです。
1988年夏の8月中旬まで続いた歴史的長期の梅雨により、海水の塩分濃度が低くなったことや水温の低下、海水中に発生する動物プランクトンの数が少なく餌にありつけない稚魚は飢餓状態にあった、親魚の生んだ卵の質が悪く栄養が行き渡らなかったために、ふ化仔魚の栄耀状態が悪かったことなど様々な要因が推測されました。
そして、大量減耗を生き抜いた0歳魚の栄耀状態は決していいものではなく、成長が遅くなってしまい産卵活動に入るまでの時間が長くなったことも指摘されていますが、実際のところはっきりと断定される理由は解明されていません。
ともあれ、1989年以降2010年代に入るまでの20年以上、マイワシは“幻の魚”と言われるほど非常に漁獲が少ない状態が続きましたが、2013年になり久々にマイワシ資源の増加が見込まれる報道があったのは記憶に新しいところです。
画像出典元:http://buccorori.blog62.fc2.com/blog-entry-416.html

 

マイワシ生息数を読む その5

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