前回はマダイの採卵についてお話をしました。 さて、今回はふ化したあとの仔魚の飼育についてです。 産まれた受精卵は直ちに細胞、器官が成形されてゆき、およそ20℃弱の水温で卵を安置したときに48時間でふ化をします。概ね80%のふ化率です。 (写真01) ふ化したての仔魚は2ミリ程度、単体で泳ぐことはできず、水に流されるよう...
サカマ
旬の魚、魚の調理方法から、漁港、産地のレポート、記事など、魚に関わる様々な情報を発信していきます。
サカマの記事一覧
初夏の気候になると、思い出します。 以前勤めていた種苗生産現場ではマダイの生産真っ最中だったことです。 当時は休む暇もないほど忙しく、種苗を飼育している水槽施設の外に広がる新緑と青空の美しさに遊びに行きたいと恨めしく思ったりもしましたが、今になるととてもいい思い出です。 マダイの生産は梅が咲き始める3月初旬から始まりま...
琵琶湖では1月になるとアユ稚魚のヒウオ漁が始まりますが、今年のアユの魚影は今までない程薄いとのことで、全く獲れない状態が続いています。 一日中漁をしても1キロちょっとの水揚げしかなく、油代など経費が重く圧し掛かっています。 琵琶湖で数十年の経験があるベテラン漁師たちは、この経験したことがない大不漁に対して、これからの見...
桜の花弁が散った木々は新緑が眩しく、季節は春から夏に動いていることを感じます。 そんな初夏の時期になると美味しい“旬の季節”を迎える魚のひとつにイサキがあります。 宝永7年に刊行された「大和本草」では、早く腐りやすくて下品なりという随分な事を書かれていましたが、これはきっとなかなか海のそばに生活している者以外では新鮮な...
鯉はもともと中央アジアを原産地とする魚で、中国では3000年以上も前から鯉を食べていたのです。 水温など生活の環境適応が高い動物なので飼育がしやすく、今では世界的に生息域が広がっています。 日本に鯉が伝わった歴史はとても古く、平安朝時代には池に放して鑑賞していたという記録があります。 鯉は人為的に変種をつくることができ...
最近、心地よい春風に吹かれて高い青空を見上げるのはとても気分がいいですね。 大型連休のゴールデンウィークに差し掛かかっていますが、皆様はどこかにお出掛けされていますでしょうか? 本日5月5日は子供の日、端午の節句ですね。 私が子供の頃は、街のあちこちでこいのぼりが風にそよいでいる光景をよく見たものですが、最近はどうなの...
寒い冬にストーブで炙った魚のヒレを燗酒に入れる「ヒレ酒」、酒好きには堪らない飲み方ですね。 元々ヒレ酒は第二次大戦後のコメ不足の時代、米と米麹で作ったもろみを清酒と同じ濃度に水で希釈した醸造アルコールを入れて糖類や酸味料、グルタミン酸ソーダで味付けした“三倍増醸清酒”を少しでも美味しくして飲みたいという考えで生み出され...
さて前回ではマダイは日本以外ではメジャーではない魚と言うことを綴りました。 日本人とマダイの付き合いは大変長い歴史があり、日本各地の縄文・弥生時代遺跡や貝塚からはマダイの骨や歯が多く出土しており、その頃から食されていたことが推測されます。 ところで名前に「タイ」とつく魚はアマダイ、キンメダイ、マトウダイなど、300種以...