意外な秋の魚 ウツボ


ウミヘビの様に長く、見た目がグロテスクなあのウツボ。
巣穴に潜って魚が来たら大きな口で素早く噛みついて捕食します。
縄張り意識が大変強く、縄張りに近づいたり、危険が及ぶと大きな口で威嚇する獰猛な姿は恐怖心を感じます。
ダイビングをしたことがある方なら、魚肉ソーセージを与えてウツボの餌やりをしたことがあるのではないでしょうか。
食性は肉食性で魚類、甲殻類、タコなど頭足類を捕食します。
イセエビとウツボは共生関係にあり、イセエビはウツボに天敵のタコから守ってくれて、ウツボはイセエビを捕食しようと近づいてきた大好物のタコを食べるという相利共生があるのです。

見た目はグロテスクでも、このウツボは秋の魚で色々な料理で楽しめるのです。
特に高知・須崎市ではウツボ料理は大変身近な存在で、スーパーで当たり前の様に販売されています。
三枚おろしにして頭を落として骨を取り、炙り上げして、薄く切ってネギやミョウガなど薬味とタレを一緒にして楽しむ「ウツボのたたき」は淡白な味わいで、皮の下のゼラチン質のプルプルとした食感が絶品で高知の名産です。

カツオのたたきで有名な高知ですが、ウツボのたたきに目を付けたのは高知県の須崎市。
この街は人口が年々減少しており、地域経済も縮んでいました。
その危惧を打破するため、須崎市の食文化や魅力を県内外に発信して観光や交流人口を増やす試みが始まります。
須崎市でもカツオの水揚げがありますが、カツオは高知全体の名産魚なのでインパクトに欠けます。
そこで目に付けたのはウツボだったのです。

ウツボは高級魚クエ漁の網にかかりますが、見た目の悪さで全く相手にされていませんでした。
浜の漁師さんたちがウツボを棒に巻いて、たき火で焼いたところ、その美味しさに驚いたそうです。昭和30年代のお話です。
それ以来、ウツボが本格的な食用魚となり、高知では雑魚から高級魚の扱いに変わっていったのです。
現在、須崎市商工会議所青年部では「うつぼ学会」を立ち上げて、ウツボに関することを広くPR活動しています。※1

生でも食すことができ、皮を剥いで骨を落として薄切りにした、桜色の魚肉が鮮やかな「ウツボの刺身」は肉の弾力が楽しめます。
寿司ダネとしても活用されていますが、関東ではウツボ寿司の馴染みが薄いですね。
一方、大阪や和歌山など西日本の寿司屋では、季節の魚でウツボ寿司を握ってくれるところが多い様です。
他にもウツボの頭の兜焼き、唐揚げ、塩焼き、煮凝り、ムニエルやソテー、干物など幅広い料理を楽しめます。

もし、釣りでウツボを引っ張り上げたなら、存分にウツボ料理を楽しんではいかがでしょうか。
ただし、ウツボは陸揚げされても30分以上は皮膚呼吸をするので、大きな口に噛みつかれない様に十分気を付けましょう。

参照元:須崎うつぼ学会

画像出典元:http://www.fish-cooking.com/

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