冬の味覚の代表格であるアンコウ、「霜月あんこう絵に描いても舐めろ」「魚偏に安いと書くは春のこと」と古い時代に詠まれており、またその通りに11月から2月の冬場が旬です。
水温が低くなるにつれてアンコウの身が締まり、春先の産卵に向けて肝臓が肥大化するためで味が一層良くなります。
旨いあん肝って、とろけるような濃厚な味わいと甘みが口の中を押し寄せますからねぇ…、そんなときワタクシは彦摩呂さんの物まねをして「口の中が旨さの宝石箱やぁ~」と言わずにはおれません。
冬場でも、とくに1月と 2月頃に獲れたアンコウが最も美味しいものと扱われており、需要も高く、そして単価も高いのです。
そして春の産卵後から夏場にかけては肝が縮むので、味が大きく落ちるのです。
さて、前回でアンコウは胸びれと腹びれが人間の手足のように発達しており、体がとても柔らかくて頭が大きいので泳ぐことが苦手であっても、海底を這うように移動できることをお話ししました。
アンコウは肉食なので他の魚や貝類、甲殻類などを食べて生きているのですが、どんなふうにして餌を確保しているのでしょうか。
アンコウは餌を捕えるときは砂に穴を開けて体をすっぽり埋めて、体色が周囲の環境と同じ海底の砂のようになります。
餌をとなる魚がやって来るのを待ち伏せているのですが、そのときアンコウの頭にはアンテナのような2本の突起があり、これをあちこち動かします。
すると近くを泳いでいる魚はそこに何か餌があると認識して近寄ってくるので、その瞬間にアンコウは大きな口を開けて一口で食べてしまうのです。
魚をおびき寄せるアンテナ状の突起を“疑餌状体(誘因突起)”といい、泳ぐことが苦手なアンコウが持っている“大切な道具”なのです。
そしてアンコウはとても“食いしん坊”で、アンコウの腹を切るといろんな魚が胃の中から出てきます。
胃の中の魚が余り解けていないときには“一皿盛り”にして売る人も昔はいたそうですよ。
胃の中から出てくる魚は小さなタラやヒメジなど小魚が多いのですが、ときにはどうしてこんなものを食べたのだろうと首をかしげたくなるほど大きな魚が胃から出てくるときがあります。
画像出典元:http://s.webry.info/sp/nakakatsu.at.webry.info/201403/article_3.html