築地の移転に関する記事は先日お伝えしたが、市場関係者の間では不安視する声も上がっています。不安の内容は二つ。
①11月7日の移転開場という時期の問題。
②もう一つはアクセスの不便さです。
■移転時期による不安
昨年11月に仲卸業者約140人が集まる有志団体「より良い市場を築くつどい」が東京都と業界団体との話し合いで決めたことだが、開場日程が最も批判が強かった点です。
築地仲卸の今井稜輔氏は「不慣れな新市場で最大の繁忙期を迎えるべきではない。買い出し人も戸惑ってしまうだろう。都に翌年2月の閑散期に変更の要望をしたい」と心配しています。
それと引越しに使える期間は11月3日から6日までの4日間しかなく、この間に一気に移転しなければならないのです。
冷蔵庫や水槽など大型設備から事務用パソコンに至るさまざまな物品を撤去し、豊洲へ設置せねばならないのです。
築地と豊洲の間は直距離で2,3kmですが、この時期は東京オリンピックの選手村や関連施設が建設中で、これらの工事車両と移転用運搬車両で大渋滞が予想されるのです。
こんな状況で4日間の移転ができるか大変不安だといいます。桝添都知事は「議論の末決めたことだから動かす予定はない」と明言しているそうです。
東京都がこの日程にこだわるのは、東京五輪の会場に隣接する豊洲地区と都心を結ぶ環状2号線を築地市場跡地内に貫通させねばならないためです。
■アクセスの不便さ
公共交通機関で豊洲新市場へ行くにはゆりかもめしかありません。車以外は大変不便な所です。新橋駅は朝6時が始発。市場は6時前から活気づきます。
築地は地下鉄もあって便利だが、豊洲になるとアクセスの不便さのため、個人の買い出しは減ると考えられます。中小の買い出し人は買いに行けなくなるか、回数を減らすなど買い出し方法で悩むことでしょう。
豊洲市場は室温管理や衛生面では優れているが、「量販店には買いやすく効率のいい市場になるが、中小小売店はコスト高になってしまう。スーパーやチェーン店だけで食文化が守れるのか」と関係者は嘆いています。
当初豊洲にも場外市場を設ける予定だったが、建設や運営にかかる費用と採算性を理由に撤退しました。
日本を代表する築地市場の豊洲への移転は、単純に喜んでばかりおられないようです。アクセスは経済発展に欠かせない要素でになります。
昨年11月の業界団体と都の話し合いで、アクセスに関して、確定ではありませんが都は「アクセスに関しては関係機関と協議中のため、今ははっきりした事は言えません」とのコメントもあるようです。
豊洲への市場移転に伴って、魚の流通経路も大きく変化する可能性があります。店舗を持たないパソコンでの流通経路の台頭も期待されますね。
(出典元 PRESIDENT Online 2016年1月18日)
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