鍋がおいしい季節になりました。我が家は鍋好きで週に1度~2度は鍋料理を楽しんでいます。土鍋の出番はひっきりなしって感じです。
水炊き、寄せ鍋、すき焼き、しゃぶしゃぶ、はりはり鍋、石狩鍋、河豚鍋、アンコウ鍋等、数え上げればきりがないほど沢山の鍋料理がありますね。
鍋の主役も牛肉、豚肉、鶏肉や、魚介を主役にした鍋もたくさんあります。各々には基本のレシピがありますが、最近は家庭によって様々な組み合わせの鍋もあるようです。
味つけも醤油味、味噌味、塩味、キムチ味などとにかくいろんな組み合わせで楽しめるのが鍋のいいところではないでしょうか。
中でも鮟鱇鍋は群を抜いています。魚屋の店先には鮟鱇鍋用に加工されたセット物が並んでいます。我が家ではこれを利用しています。
さて、アンコウはというと、海底に潜んであまり動き回ることをせずに餌を捕獲しています。大きな口に平たい体、決してイケメンではありません。
冬の食卓には欠かすことのできない魚です。白身で淡白な味は厳冬の時期が最もおいしい魚です。「関西のフグ」「関東のアンコウ」と呼ばれ、関東で人気のある魚です。
夏から秋ごろは深い海に生息していますが、冬場には浅いところに移動し、産卵は4月から7月にかけて行われます。卵は帯状の寒天質に包まれ、産卵後海面に浮かび波間を漂います。
鮟鱇の産地としては、福島県から茨城県にかけてが有名です。西では山口県の下関も有数の漁場で、フグとアンコウは下関の2大味覚と云えるでしょう。
鮟鱇は見た目は良くないが捨てるところがない魚で、福島県や茨城県では、「アンコウの吊るし切り」が冬の風物詩となっています。
鮟鱇を使った漁師めしに「どぶ汁」があります。茨城県の漁師たちが船上で食べた鮟鱇鍋が始まりです。水は使わずに大根などの野菜や味噌と鍋を持ち込んで、船上で簡単に作れる栄養価の高い料理です。
名前の由来はあん肝からでる肝油で汁がオレンジ色に濁り、酒のどぶろくのように見えるところから、水戸黄門が「どぶ汁」と名づけたといわれています。
鮟鱇には「アンコウの七つ道具」と呼ばれる部位があります。トモ(肝)、鰭、ヌノ(卵巣)、柳肉(身肉、頬肉)、水袋(胃)、鰓、皮を指して言います。このように無駄なく食べられるのがアンコウの特徴ですね。
アンコウの肝は海のフォアグラとも言われるほどこってりしたおいしさがあります。脂肪含有量はマグロのトロの約2倍あります。今年の冬も鮟鱇鍋で温まりたいものです。
鮟鱇で一句
早く切れと 言わむばかりの 吊鮟鱇 野口光枝
水揚げの 鮟鱇口の かぎりあけ 幡野淳子
鮟鱇も わが身の業も 煮ゆるかな 久保田万太郎