
 日に日に秋が深まる今日この頃、如何お過ごしでしょうか。
 9月の台風、秋雨以来、10月になってもなかなか晴れ間が覗かない空模様が続いています。
 晴れた秋の午後、ゆっくり散歩したいというワタクシの小さな夢は叶わず、そのまま冬になりそうです。
 朝晩の風がかなり冷たくなり、周囲では風邪を召された方が結構いらっしゃいます。
 美味しいお魚を沢山食べて、元気に過ごそうではありませんか。
 前回は幻の魚とも言われている“鮭児”についてお話しました。
 さて珍しい鮭といえば、“時鮭”や“時不知”というものがありますが、これらは“トキシラズ”と呼びますが、これはどんな魚なのでしょう。
 トキシラズとは鮭の旬である秋ではなく、春から夏にかけての季節に獲れるので「時を忘れた魚」という謂れが名前の由来です。
 鮭児と同じくアムール川で産まれたサケで、オホーツク海を南下して日本近海を回遊しているものです。
 秋の産卵期までまだ時間があるため、卵巣や精巣は整っておらず栄養分は産卵のために使用されていません。
 そのため、身には多くの脂が乗っているのです。
 脂の量は秋サケと比べて3倍以上もあり、まさに霜降り状態です。
 ハラスがとても味わい深く、脂が多いのにしつこくない旨さが楽しめます。
 鮭児は2キログラム前後の小型の魚が多く、トキシラズは3~4キログラムの魚が多いのですが、どちらも若い魚なので皮はうすく柔らかく、魚体はシロザケよりも銀色に輝いております。
 鮭児とは言わないまでも、トキシラズも比較的高い浜値で取引されています。
 何故、ロシア産まれのトキシラズが日本近海に存在するのか?
 これらの魚は産卵のためではなく、餌を求めにやって来ているからなのです。
 日本がルーツのシロザケは夏になると、日本より遥か北のベーリング海からアラスカ湾を回遊しますが、アムール川産まれのサケはカムチャッカ半島を沿って北海道に接近して、秋の産卵のために栄養を摂ります。
 これらのサケは道東・道北の日高、根室、釧路、厚岸の沖合から本州の三陸沖にかけて、主に定置網で漁獲されています。
 道東では定置網以外に、日帰りで近海に出掛けてトキシラズを獲る「以西船」というものがありますが、日本近海に漁を限定しているのは、カムチャッカなど北にいるトキシラズはまだ栄養が十分と言えず、脂の乗りが少ないためです。
 ところで、トキシラズの切り身を焼いて脂が滴り落ちる写真なんて見てしまったために、とても腹の虫が収まってくれません。
 今年はダイエットをしようと思っているのに…。
 まあ、いいや。秋を探しにご飯を焚いてサケの切り身を焼いてきます。
 画像出典元:http://buccorori.blog62.fc2.com/blog-entry-355.html
 
                    
                    
                    
                    
