鮟鱇は今も昔も高級魚として人気のある魚です。白身で淡白な味でカロリーは低いが、アンコウ鍋としてなくてはならない魚です。
産卵を終えた7~8月を禁漁とし、肝が大きくなる11~2月ごろが一番おいしい時期です。
茨城県では底引き網漁によってアンコウを漁獲しています。
鮟鱇の産地は福島県から茨城県にかけてが有名な漁場ですが、近年では山口県下関での漁獲量がトップの座を占めています。
西のフグ、東の鮟鱇といわれ、秋から冬にかけての味のオオサマです。下関ではフグも鮟鱇も日本一となり、冬の2大味覚として名を馳せていくことでしょう。
アンコウは江戸時代には「三鳥二魚」と呼ばれる5大珍味の一つとして珍重されていたようです。つる・ひばり・鷭(ばん)・鯛・鮟鱇の5種類です。これらは歴史的にも名高い高級食材です。
アンコウはそれぞれの部位ごとに味や歯ごたえが異なるため、柳肉(身肉、頬肉)・皮・水袋(胃)・キモ(肝臓)・ヌノ(卵巣)・えら・トモ(ヒレ)が食用にされ、七つ道具と呼ばれています。(「飲食辞典」平凡社昭和33年に記載)
この七つ道具と野菜を加え、味噌または醤油で味付けをしたアンコウ鍋が代表的な鮟鱇の料理です。
特にアン肝と呼ばれる肝は、ビタミンA・ビタミンB12・ビタミンD・DHA・EPAなど栄養価が高く、美味しいため海のフォアグラとも呼ばれています。
アンコウは表面がヌルヌルしているため、まな板に載せて料理することは難しいため、伝統の「吊るし切り」という解体法が採られています。
アンコウ料理には
・アンコウの七つ道具を使ったアンコウ鍋
・ドブ汁・・・鍋で生肝を乾煎りし、アンコウの具材、野菜を入れて作る鍋です。漁師たちが船の上で食べたとされる古くからの料理方法です。
・友酢(供酢)・・・アン肝や皮、身などを酢味噌で合わせたタレにつけて食べます。水戸の発祥といわれ、アンコウの一品料理として有名な料理です。
・アンコウのから揚げ・・・皮や身をから揚げにして、レモン汁をかけて食べるのが通とされています。河豚に似た食感で大変おいしい。
日本ではキアンコウ(ホンアンコウ)とアンコウ(クツアンコウ)が食用として供されています。外見はよく似ていますが、市場では区別されずに販売されます。
北海道、太平洋、インド洋、大西洋、地中海の深海に生息し、餌は主に小魚やプランクトンを捕食します。種類によっては鮫やスルメイカ、カレイ、カニなどを捕食するものもあります。
アンコウの俳句
あんかうに 一膳めしの 行灯哉 正岡子規
鮟鱇の 口ばかりなり 流しもと 高浜虚子
鮟鱇鍋 河豚の苦説も なかりけり 正岡子規
鮟鱇の 肝 うかみ出し 鮟鱇鍋 高浜虚子