さて前回はシュールストレミングのおはなしで終わってしまいましたが、もう少しこの“激しい臭気”の食べ物について書きたいねぇ。
私はこの臭気を味わったことがあるんですね…、学生の時だから20年前になりますか、サークル連中でバーベキューを相模川の河原でやったとき、サークル一お調子者のイトー君が持ってきたんですよ。
欧州旅行の土産とか言っていましたが、あれって航空機内に持ち込みはできないんじゃなかったっけ…。
(註:シュールストレミングの機内持ち込みは2006年に定まった模様)
まあ、とにかくイトー君は自慢げにシュールストレミングの缶を取り出したので、ここにいた一同は“世界一臭い缶詰”に興味津々です。
誰が「コレ」を開けるか軽く揉めましたが、最終的に言い出しっぺのイトー君が開けることになりました。
さあ缶を開けるぞ、ホワイトスネークカモンっ!
………
………
「バシュッ!!」
缶の中で膨張している空気で中身が一瞬のうちに噴き出されました。
「うっ…くせぇ!」
くさやの6倍の臭気と言われていますもんね、具体的にどんな臭いだったかというのは御下品な言葉で憚れますので、気になる人は調べてみてください。
「激臭」っていう言葉はまさにこのためにあるんだなぁって思ってしまいましたよ。
サークルで怒らせると怖いで有名なアヤ姉さん(いつもは優しい美人さんですよ)は、今まで見たことがないほど凄まじい般若の顔になっていました。
もうこの臭いにやられたサークルメンバー一同、蜂の巣を突いたように大騒ぎです。
「テメェ、はやくそれをどうにかしろよ!」
「クッセエ!!このヤロー、この臭いの中でバーベキューなんて食えねぇぞ」
「イトー君、本当にサイテー」
イトー君に対して罵詈雑言の嵐です。
でも、さっきまでシュールストレミングにみんな興味だったくせに。
そう思って彼が可哀想に思えましたが、でもこの臭気の中ではそんな思いが吹き飛んでしまうのです。
「え…でも、これ食いものだよ…」
イトー君も弱気になりつつも応酬しますが、1対20では勝ち目がありません。
しかし、かわいそうなことにシュールストレミングの内容物が服に付着したので今度は彼自身が臭いとは。
臭い、近寄るなと散々な目に遭ったイトー君、Tシャツを脱ぎ棄てて川で体を洗っていました。
この河原へ我々は車で何台かで乗り付けてやって来たのですが、誰がイトー君を乗せるのか白熱した戦いがあったとか、なかったとか…。
画像出典元:http://f.hatena.ne.jp/yound/20121008133554