クロマグロの名門水揚げ漁協の破たんとクロマグロの今後


今年5月、和歌山県那智勝浦町の「勝浦漁協」が経営難により破たん・解散となってしまいました。
漁業関係者の間では「全国で有数のクロマグロ水揚げ地なのに何故なのか!?」という驚きの声があちこちで聞こえます。
勝浦漁協は今年初めに400キロ級の超大型マグロを水揚げして話題になりましたが、全体の水揚げ量としては低下していました。
そして11億円の債務超過に陥ったため、地域活性化支援機構(東京都)の支援を受けて、本年10月に解散が決定しました。
市場は那智勝浦町へ譲渡して、事業や業務は和歌山県漁連が引き継ぎます。
勝浦漁協のクロマグロ水揚げ量は2005年に3,115本(440トン)がピークで、翌年2006年は1,142本(163トン)と急激に水揚げ量が落ちました。
水揚げ量の低下は止まらず、昨年の水揚げ量は503本(53トン)と2005年の1/6しかありませんでした。
最近の水揚げ状況は、市場でよく並ぶ100~200キロ級のマグロの水揚げが減り、100キロ未満の若魚が増えていたとのことでした。
その中で巨大なクロマグロの水揚げだけが続くという現象が起き、昨年から今年にかけて300キロ以上のクロマグロが12本揚がりました。
漁協関係者たちは、今まで無かったこの状況に驚きを隠せません。
しかし、大きすぎるマグロは歳を取っているので味が落ちてきていることは否めません。
平成6年、沖縄近海や日本海で0歳未満の幼魚が、通常の3倍にあたる4千万尾の生息数を確認しました。
これらの魚を「卓越年級群」といい、水温や餌、外敵が少ないなどといった複数の好条件が重なったことで、通常より遥かに多い幼魚が生存出来て資源量が増えるといったことが期待されます。
卓越年級群を観測したのはこの年だけで、翌年以降は全く観測されなくなりました。
今回水揚げされた超大型のマグロは平成6年の卓越年級群の生き残りと推定されています。
そして、漁獲がピークだった2005年の1尾当たりの平均重量は140キロだったのに対して昨年2015年は105キロ、2011年周辺では100キロを切っており、全体的に小型魚が多い傾向になっています。
100~200キロ級のマグロがいなくなったことは、繁殖活動に貢献できる比較的若い層がなくなったことを意味します。
クロマグロの若い魚は身に脂がよく乗っており、赤身もトロも非常に美味しいので常に高い値段で取引されており、需要がとても高い魚ですが、資源が枯渇寸前という現実を鑑みたとき、資源回復のための規制や対策を急がねばならない時期に差し迫っているかもしれません。
画像出典元:http://wbs-waka.sblo.jp/article/64183950.html

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