近大卒の「近大マグロ」が大学祭で解体ショーに出演


大阪の有名私立大学に近畿大学があります。地元では近大と呼ばれて親しまれています。
近畿大学といえばクロマグロの養殖で全国に名を知られた大学ですね。

今年(2015年)11月2日に大学祭が行われました。農学部のある奈良県奈良市中町のキャンパスでは、大学祭のイベントの中に「近大マグロの解体ショー」がありました。

和歌山県串本町で育った4年物のクロマグロ2匹が持ち込まれ、30分に亘って解体ショウは行われました。マグロは刺身で1000食に分けられ、集まった学生にふるまわれました。

学生は「さっぱりしてて、めっちゃおいしかった。これが養殖とは全く感じません」と食後の感想を述べたようです。

そもそもどうして近畿大学がマグロ養殖を手掛けることになったのでしょう。近大マグロのニュースはあらゆるメディアで報じられてきました。

■なぜ近畿大学がマグロ養殖に乗り出したのか

~海を耕すことの大切さがあったから~

日本は第二次大戦によって国土も海も狭められました。日本人の食料を将来に亘って確保する必要性があります。

それには陸上での食糧増産だけでは追いつきません。そのため海を耕し、海産物を生産しなければ日本の未来はない。

1948年、この理念を基に近畿大学水産研究所が誕生しました。

■世界から注目される近大水産研究所の養殖研究

・1954年、網いけす式養殖法の研究によって産業化を実現しました。現在もこの方式が主流で世界へも普及しています。

・1965年には、世界初のヒラメの種苗生産に成功し、今日までに18種の種苗生産を達成しています。

・2002年には念願のクロマグロの完全養殖に世界で初めて成功を収めました。
さらに選抜や交雑による優良品種の開発も成果を上げています。

・新たなテーマとして富山県において日本海特有の魚類の種苗生産や、深層水利用による養殖、暖海性魚類の種苗生産にも取り組んでいます。

・水産研究所では実際に魚類を飼育しながら、栄養学、育種学、形態学、生理学など基礎研究に加えて、バイオテクノロジー、代替蛋白源など総合的な研究に取り組んでいます。

・2003年には文部科学省21世紀COEプログラム「クロマグロ等の魚類養殖産業支援型研究所」に選定され、その研究活動が注目されています。

■学問の垣根を越えて広がる水産研究の未来

研究所では独創的な発想も恐れることなく採りいれ、多くの業績を上げてきました。
野生の海水魚を飼い慣らし、養殖種に改良して、産卵親魚の養成にも成功しています。

21世紀の水産危機を救う先端技術を産学連携アプローチによって、水産資源は勿論のこと、食料問題の解決、市場の活性化へとあらゆる業界から注目されています。

■近大マグロの今

近大マグロ養殖実験場は1948年和歌山県白浜町を皮切りに、同県内に6か所、三重県に1か所、富山県に1か所、鹿児島県に1か所でそれぞれ研究を続けています。

マグロは休むことをしない魚です。一時も泳ぐことをやめません。だからこそ養殖には大変な苦労があったようです。

こうして育った養殖マグロは「近大マグロ」の商標で、すでに多くのマグロ愛好家の舌を魅了しています。今のところ近大マグロを食べることができる場所はわずかです。

株式会社ダイナックという会社と近畿大学のコラボによるレストランがあります。ここで近大マグロを食べていただくのですが、様々な養殖魚の魅力を楽しむことができるようです。

関西では「グランフロント大阪店」で近大卒のクロマグロを賞味いただけるようになっています。ぜひ一度近大卒のマグロをご賞味ください。

 

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