ししゃもは、頭から丸ごと食べられて、カリカリ感や、卵のプチプチ感といった感触を楽しめる、ご飯のおかずやお酒の肴にもうってつけの身近な魚です。
しかし、そのししゃもも、年々漁獲量が激減し、日本のししゃもである本ししゃもの占める割合は現在約一割程度しかありません。
シシャモは北海道の限られた場所にしか生息せず、北海道南東部の太平洋沿岸にだけ分布する日本固有種です。
普段は沿岸海域で生活していますが、1歳半となる10月中旬から11月下旬の産卵期には、サケのように群れをなして故郷の河川をさかのぼります。
そして、この時季に河口部で「ししゃも漁」がおこなわれます。
一般に市場に出回っている大半のししゃもは、カナダやノルウェーなどで獲れたからふとししゃもという冷凍品を生干ししたものです。
ししゃもは産地では、こんな伝説が残っています。
「昔、凶作に苦しむアイヌの人たちが神様に食べ物をと祈ったところ、柳の葉が川に散って魚になった」と。
その魚がまさしくししゃもであり、ゆえに漢字で「柳葉魚」と書くようになったといわれています。
またアイヌ語で、柳の“シュシュ”と葉の“ハム”を合わせた“シュシュハム”がなまって、ししゃもと呼ばれるようになったのです。
さて、このししゃもをおいしく食べるためには、さっと炙る程度に焼くのがコツです。
とくに子持ちししゃもは焼きすぎると卵がはじけてしまうので注意してください。
冷凍品は解凍するとうまみが水分と一緒に流出してしまうので、そのまま焼きましょう。
また、焼く前にお酒を振りかけるとさらにおいしくなるのでぜひお試しを。
栄養面ではまず、日本人に不足している栄養素の一つであるカルシウムを多く含んでいます。
しかも頭から尻尾まで丸ごと食べれば、より多くの摂取を期待できます。
またビタミンB2も多く含むので、口内炎・肌荒れ・目の充血などの予防に効果があります。
ビタミンEも多く含まれており、その強い抗酸化作用は血液をサラサラにし動脈硬化を予防します。
さらに善玉コレステロールを増やす働きをもつ不飽和脂肪酸も多く含まれているという、栄養面もバッチリの魚です。