今年も北海道方面に台風が接近したため、水産業では大きな被害が出ています。
台風の強風、大浪により秋サケ定置網が破れ、しかも付近には沢山の流木があって漁の邪魔になっています。
そして海水温が上昇したことにより、秋サケ定置網漁では非常に厄介な問題が起きているのです。
北海道の胆振地方沿岸では9月に入り秋サケの定置網漁が本格的に始まりましたが、秋サケが掛かるどころか、今までにないくらいの大量のブリが水揚げされています。
漁業関係者からは本来取れるべきである、取引価格の高い秋サケの水揚げが全く振るわず、価格の安いブリばかり大量に揚がっていることに戸惑いの声が上がっています。
室蘭では9月8日の初水揚げではサケが前年初日より7割も少ない3.2トンだった半面、ブリは何と20倍の21.7トン、サケの水揚げと比べて7倍もの水揚げです。
ちなみに水揚したブリのほとんどが幼魚サイズのイナダでした。
かつて室蘭周辺でほとんどブリが獲れることがありませんでしたが、2012年に18トン、翌13年に近年では最多の133トンにまで増えたのです。
それから2014年以降はブリ漁獲量が減少傾向にあったが、本年は漁初日だけで最多であった2013年の実績の3割近くも水揚げしたことになります。
そして初水揚げから3日後の9月11日の早朝5時、北海道の胆振地方沿岸の登別漁港では漁船2隻が沖合の定置網から港に戻ってきました。
しかしこの日も、最盛期を迎える秋サケの姿は非常に少なく、その一方で大量のブリが揚がっていました。
いぶり中央漁業協同組合によりますと、サケの水揚げ量は漁解禁になった9月1日から11日までかけておよそ15トンでしたが、ブリは130トン。
去年1年間に水揚げした15トンを10日で10倍近くも上回るという、過去にない水揚げ量を記録しています。
例年胆振管内のサケ定置網解禁日は9月1日ですが、今年は3日に接近した台風の影響で初水揚げが遅れていました。
そして台風が接近するということは海水温が高いのです。
ブリは元来暖かい海流を好み、これまで北海道まで北上することは滅多にありませんでしたが、近年海水温の上昇など北海道周辺の海洋環境の変化の影響で北海道各地にてブリ水揚げ量が増えているのです。
漁業関係者達は一刻も早く、沢山の秋サケが定置網に入る普段通りの海に戻ってほしいと願っています。