カジキは潜水艇さえ襲う その1

魚屋を物色していると、時折見事なほど美しい桃色のカジキの切り身を見つけるときがあります。
大概、ラベルに記載されているカジキとは“メカジキ”のことを意味します。
適度に脂が乗っているので、塩コショウでムニエルにして食べるのが好きなんです。
この一週間、お腹を下してお粥など流動食ばかりだったので、バターとともに香るメカジキの身を思い出すとお腹の虫が鳴りやみません。

さてカジキといえば長い吻が特徴の4メートルを超える巨大魚で、とくにメカジキはカジキ種の中では一番大きな種類になります。
船の梶を突き破る程の鋭い吻から“梶木通し”と呼ばれたことが魚名の由来で、海外では“Bill Fish”、メカジキの吻を剣のように見立てて“Sword Fish”、バショウカジキは帆にみたてて“Sail Fish”などと呼ばれている魚です。
世界の熱帯・亜熱帯の海域に広く生息しており、外洋の表層や中層など比較的浅いところを単独で回遊しています。
餌を求めて海面を飛びあがったり深海に潜ったりと器用に、そして流線型の体型を活かして最高時速100キロというとても速いスピードで泳ぎ回ります。

漁業資源として重要な魚で主に延縄で漁獲されますが、アメリカをはじめ海外ではトローリングによるスポーツフィッシングの対象魚として一目置かれています。
ヘミングウェイの「老人と海」は老漁師と巨大メカジキの三日間に渡る激しい奮闘が描かれていますが、老漁師は銛でメカジキを仕留めています。
銛を使って水面からメカジキを捕える伝統的な“突きん棒漁”は今も行われており、近代では銛に電気を通して魚を失神させて獲ることがあります。
カジキは非常に性格が獰猛な魚で、釣り上げたとき激しく暴れるため吻に刺さり怪我をする、若しくは命を落としてしまう事故が絶えません。
またヨットや小型船で沖合に出ているとき、高速で水面から飛び出してきたカジキに衝突する事故も発生しています。

さてカジキのシンボル的存在の吻ですが、とても大切な役割が幾つもあります。
吻の形状について、メカジキは上下に扁平な剣型、マカジキは円錐形の槍型の形状をしています。
餌となる魚や甲殻類などを捕食するときは頭の吻を振り回して獲物を打ちのめし、気絶、または致命傷を負わせて瀕死の状態にさせてから捕食します。
そして大型のサメ類など天敵から身を守るのにも活用されており、特に大型魚クラスの成魚の吻の一突きは相手に十分な致命傷を与えることができるのです。

画像出典元:http://blogs.yahoo.co.jp/kndihnbi/49348526.html

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カジキは潜水艇さえ襲う その2

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