幽霊列車のお客は魚!?


時刻表に載っていない時間に古臭い列車がやって来て、ドアが開いたと思ったら数秒で閉まる…ちょっとしたホラーですね。
深夜の時間帯に走るとか、何年前にいわくつきの事故があったとか、窓には沢山の恨めしそうな顔をしている人がこっちを見ているとか、都市伝説や怪談話でありがちですね。
実際、近畿地方で時刻表に載っていない列車はあるんですよ、しかも沢山の人が見ている。
でも怪談の様におどろおどろしいものではなく毎日朝のラッシュ時に運行されており、車内は幽霊の代わりに発泡スチロール箱が山積みされていです。
そして何よりも大阪の鮮魚店やレストランなど、魚の供給で重要な役割があるのです。
さて、この列車の正体は近鉄電車が運行している「鮮魚列車」という定期列車なのです。
三重県伊勢市の宇治山田駅から松阪、奈良を経て大阪上本町まで運行されます。
「伊勢志摩魚行商組合連合会」に属している行商人のための列車で、車内には伊勢や松阪で獲れた新鮮な魚介類で満載です。
行商人が買い付けた魚を列車に積み込むと、量が凄いので他の乗客が乗りきれないことと、魚の匂いが車内に充満するということから近鉄は団体専用列車という位置付けで、伊勢志摩魚行商組合連合会に属している行商人のみ利用できる列車を仕立てています。
毎朝6時過ぎに宇治山田駅を出発して3時間近くかけて大阪上本町駅に向かいます。
夕方には大阪で行商を終えた人のために、宇治山田へ折り返す列車があります。
専用列車は通勤電車で使用されていた3両編成の車両が使用されており、車内は広告が全くなく、長時間乗車する行商人のためにトイレが設置されています。
車内の手すりなど金属部分は腐食しやすいので検査のたびに取り換えており、車両検査で鮮魚車両が使えないときは、車内をビニールシートで覆った一般の通勤列車を使用しているとのことです。
宇治山田で沢山魚介類を積み込んだ列車に、数人の行商人が乗り込みます。
昔はもっと行商人が乗車していたのですが高齢化が進んでいるため、年々行商人の数が減って来ています。
朝のラッシュをよそに車内では行商人たちはご飯を食べ、ロングシートに寝そべってゆったりと過ごしています。
この列車を50年間運行している近鉄は、大阪や沿線地域に新鮮な魚介類を届けることや、地域活性化といった大切な役割がこの鮮魚列車に込められているので、経費や収益を考えながら走らせている訳ではないと話しています。
画像出典元:http://ameblo.jp/bodypump62/entry-11873277980.html

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