秋が終りに近づいた頃、木々の葉は黄色に色づいて散ってゆきます。
日が傾くのが早くなり、すぐそばまで来ている冬の訪れに、もの悲しいセンチメンタルな想いに耽ってしまうことありますよねぇ。
しかし、もの想いばかりに耽ってばかりではなりません。
秋から冬にかけて旬の魚は実に多いのです。
このさかま図鑑を執筆している私も含めご覧の皆様は、この時期が旬の魚に心を躍らすときではありませんか。
美味しい魚を食べて冬も健康、それが一番ですね!
さて、前置きがすっかり長くなってしまいました。
今日はアカムツについて綴ってゆきたいと思います。
市場では「ノドグロ」、「ノドクロ」の名前が有名で、大きい目玉が特徴の赤い魚です。
福島県以南の太平洋、新潟以南の日本海、そして東南シナ海からインド洋にかけて生息しています。
水深200メートルほどの比較的深い水域で砂底に生活しており、甲殻類、イカを捕食して6月から10月にかけて産卵します。
アカムツの旬は秋から冬にかけてです。
「アカムツ」の由来とは、脂っこいということを「むつこい」、「むっちり」などと言われ、
脂が多い魚という意味合いです。
実際、季節を問わず白身の脂が多く、濃厚な味わいで人気があります。
そして、脂が多いのにクセがない素直で上品な味わいが楽しめ、肝の味わいも絶品です。
鮮度が高い魚は目玉がルビーの様に輝いています。
ウロコが剥がれやすく、白っぽい魚は脂が非常にのっているのでより珍重されます。
小さい魚体でキロ2,000円以上、大型魚なら10,000円の浜値が付くことがある高級魚です。
以前お話したキチジのように、希少性があるため浜値が高く推移しています。
「東のキチジ、西のアカムツ」と言われるほどです。
気になる調理方法ですが、鮮度が高い新鮮な魚は刺身にして食すのが贅沢です。
このとき、皮は剥かずに炙って焼き霜にするといいでしょう。
皮にも脂と旨みが詰まっており、とろけるような食感はまさに「白身のトロ」なのです。
煮付けにすると身が柔らかくなりこってりとした味わいで、身と骨の離れがいいですよ
このとき、肝が嫌な匂いがしないときは一緒に煮ると、また美味しいです。
しつこいですが、肝が臭うときはためらわず使用しないようにしてくださいね。
他に塩焼きにしてもよし、唐揚げにしても香ばしさが楽しめます。
唐揚げは二度揚げにすることで骨まで食べられます。
また、干物はスーパーや鮮魚店で比較的販売されており、脂の旨みが引き立ち、大変美味しいです。
鮮魚はなかなかお目にかかれず、あったとしても高値ですが是非食べてみたい一品ですね。