島らしいおもてなし 島根県海士町の秋

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島外から来たゲストと一緒にいただいた島の食事がとても素晴らしく、感動したのでそのご紹介をさせてください。

島の民宿、小崎荘 さんでいただいた夕食。

こちらは保々見という地区の海沿いにたたずむ朝日を望む景色が自慢の宿で、普段は1日1組限定でお客様を丁寧にお迎えされてます。

宿を切り盛りするおかみさんは漁協の直売所で魚を仕入れる時にとても丁寧に魚が獲れた状況を聞いてくれる方。

実は8年前に私が島に移住した日に泊めていただいた宿(荷物が翌日じゃないと届かない為)で、玄関で「ここに来てくれたのはあの時以来ですね」とお迎えくださいました。そんな気遣いも素敵だと思いました。

お料理もとても島らしいものにあふれていて、普段から「地元で獲れた魚があたりまえに食べられる」ことを目指している私には「ここまでできるんだ!」と、とても勉強になりました。

この日のお刺身は、左からアカバ、イワシ、白いか、サザエ。

アカバというのは夏から秋にかけて回遊してくるカンパチの幼魚のこと。

まさに、今の時期の海士の海で獲れたもの。

最初の写真で刺身の手前に盛られている3種類のお料理が、実はすごいんです。

左から鯵のみりん干し、べこの味噌和え、白いかの一夜干し、たぶん味噌漬け。

べこは隠岐特有の食文化として漫画「おいしんぼ」でも紹介されたことがある食材で、アメフラシ のこと。

まず家庭では食べられない、とても手がかかった一品です。

 

殻ごと盛られたサザエは地元の調味料「こじょうゆ味噌」と和えてありました。刺身と違って火を通したサザエは柔らかく食感の違いが楽しめます。「こじょうゆ」は家庭ごとに味が異なるのですが、小崎さんのは水あめなど甘みを加えていないということでシンプルに旨味が感じられました。

奥にのぞくのは岩もずくの酢の物。

こちらは白いかの煮つけ。今の時期に獲れる小ぶりなサイズはとくに柔らかくて美味しいんです。

こちらは左が「こしょみそ」、右が「煮しめ」と呼ばれる郷土料理。

「こしょみそ」はピーマンやナス、人参など夏野菜を「こじょうゆ味噌」で炒めます。

「煮しめ」は地域の集まりがあるときによく作られるお料理で、簡単に言うと炊き合わせなんですが具材の合わせ方や、盛り付けにも決まりがあり奥の深い料理。ワラビなどを使うので、旬の時期に下処理をして保存しておく作業があって初めて成り立つ料理です。

このあと、のどぐろや白いかの揚げ物、隠岐牛の焼き物、サザエの茶わん蒸しといったごちそうが並び、しめの食事にまた興奮していまいました。

ご飯は「まぜご飯」と呼ばれるもので、前述の「煮しめ」の具材をご飯に混ぜ込んだものです。「煮しめ」は人が集まる場面で作られる都合上、食べきれず余ることが多い料理です。その余った具を持ち帰って作られるのが、この「まぜご飯」。つまり、人々の暮らしの中で生まれた必然のお料理なんですね。今日はさらに「岩のり」が加えられていてとてもいい香りでした。お吸い物は、カワハギ。ああ、しみわたります。

 

じつは、この後ごちそうさまの段になってから飛び込みでイカの刺身を出してくれました。

「さっき近所の人から釣りたてのイカを貰ったから、食べてみて」とまだ動いている透き通ったイカがテーブルに。せっかく来てくれたお客さんに楽しんでほしい、島のことを知ってほしいという想いに満ちた心遣いでした。

 

料理の背景には島の人の暮らしの積み重ねがあり、それが今を作っていることに尊敬と感謝の念を覚えた一晩でした。ごちそうさまでした。

ぜひこんな季節の味を味わいに、島へお越しください。

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この記事の著者

藤澤 裕介

大学を卒業後、出版社に勤務し数々のベストセラーに関わる。2010年に海士町に移住し、 漁協の職員としてのキャリアをスタート。地域で暮らしながら持続可能な漁業のあり方を 模索している。(1979年生まれ/横浜市出身)

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