魚の体温と水温 その6

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さて前回ではマグロやカジキ、サメなどは“奇網”と呼ばれる特殊な血管構造で、体温を高く保ち、そして高い運動能力を維持することを綴りました。

そのなかでもクロマグロは長距離を短時間で泳ぐ非常に高い運動能力を持っており、常に体温を28℃に保つようにしています。
筋肉の温度を水温と同時に知らせる発信装置をクロマグロの体に取り付けて放したところ、水温15℃の表層から10℃の深層に潜っても筋肉の温度は23℃前後を保っていました。
もっともこれは同じクロマグロであっても個体差があり、筋肉の温度が不安定で水温の変化によって変わる個体もありますが、基本的には多くのクロマグロは筋肉の温度は水温に関係なく一定の範囲内で維持することができます。

また、クロマグロは筋肉だけではなく内臓の温度も高いのです。
大型の個体の“胃”にサーミスターセンサーを通しましたが、そのとき食道からエラ穴を経て体外に通じる導線を通して胃の温度と水温を同時に計測したのでした。
このクロマグロは水温16℃の表層から急に深く潜って5℃の深層に4時間留まり、その後再び表層へ浮上しました。
このときの“胃”の温度は21℃から19℃へ緩やかに降下して、浮上したときは18℃で一定、その後2日間は幾度か水温が低い深層へ向かいましたが胃の温度はほとんど変化がなかったといいます。

そしてクロマグロと仲間の“メバチマグロ”は水温より体温は平均して8℃ほど高いのですが、胃の温度はクロマグロと異なり水温によって変化するのです。
水温18℃の表層に放したメバチマグロが14℃の深層へ1時間潜ったとき、19度だった胃の温度は16℃までゆっくりと下がりました。
その後再び表層へ戻ったとき、胃の温度も徐々に上昇して水温より2℃高い温度になりました。

同じマグロの種でも違いがある理由として、クロマグロやメバチマグロの肝臓の表面には無数の細い線条があります。
これは肝臓周辺の熱交換をする役割を持っており、内臓の温度を高く保つために寄与しています。
この線条の発達具合は、メバチマグロはクロマグロと比べて悪いので、保熱効果も落ちるのです。
運動能力が高いマグロやカジキ、サメなどは常に高速で泳ぎ続けられるための工夫が体に施されているのですね。

画像出典元:http://cyclothone.blogspot.jp/2012/08/171.html

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この記事の著者

サカマ

旬の魚、魚の調理方法から、漁港、産地のレポート、記事など、魚に関わる様々な情報を発信していきます。

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