日本海沿岸の人々と風土文化を共に生きている魚・ハタハタ (その1)


秋田名物の魚といえば「ハタハタ」ですね。
ハタハタとは雷の轟く音「ゴロゴロ」に由来しています。
豊漁のときは雷が轟き、荒れた海に因み、カミナリウオという呼び名があります。
秋田ではハタハタが県魚に指定されており、日常の食事や正月になれ寿司を食べるなど生活風習や郷土料理には欠かせない存在です

主に北西太平洋、日本海沿岸、オホーツク海、千島列島、極東ロシアなど寒冷な海域に生息しています。
スズキ目に属する一種で成魚の体長は20cmほど、水深500mの深海に生息して、ヨコエビやコペポーダという動物プランクトン、オキアミ、魚類を捕食しています。
11月から12月の晩秋から冬にかけて産卵期になり、浅瀬の藻場に集まり産卵します。
メスは2才から産卵を始め、産卵後も死亡せず数年にわたり繁殖活動を行います。
放卵数は1,000~2,500粒ほどで、卵は海水に触れると粘膜を分泌して塊となり藻に付着します。
卵の塊の色は赤、青、緑、黄色など様々です。
藻に付着した卵の塊は波によって浜辺へ打ち上げられることがあります。
ふ化した稚魚は浅瀬付近で生活しますが、成魚になると深海に生活の場を移します。

日本海に生息するハタハタは複数の生息圏があることが判明されています。
北海道方面(根室、釧路、日高、石狩湾)で繁殖して回遊する群、秋田沖を中心に繁殖して日本列島沿岸を回遊している群があります。
しかし、本州沿岸のハタハタ産卵場所は能登半島から北は確認されておらず、日本海西側に生息している群は朝鮮半島東岸が繁殖地区であるとされています。
三陸沖など太平洋側での漁獲もありますが個体数は非常に少なく、北海道生息群か日本海生息群の個体と推測されており、そのことからハタハタの回遊範囲は広いとされています。

ハタハタは主に日本海地域で食用されています。
軽く干してから塩焼きにすると、柔らかくねっとりとした皮と香味が強い身の旨みがたまらない美味しさです。
煮付け、干物、なれ寿司、昆布だしで茹であげてポン酢醤油で食べる「湯上げ」、ハタハタを原料にした醤油(魚醬)を使い新鮮な魚を具材にしたしょっつる鍋など、日本海沿岸の各地域には美味しいハタハタ料理が沢山あるのです。
また、新鮮な魚は三枚卸しにして酢締めにすると格別な味わいが楽しめ、鳥取では刺身にして食すことがあります。
そして、ハタハタ最高の美味といわれるのが「ぶりこ」と呼ばれる魚卵です。
受精した卵は非常に固くなるので食すには大変ですが、採卵前の未成熟卵はぬめりの中にプチプチと弾ける食感がたまりません。
そのため、魚卵を持っているハタハタの浜値はかなり高いのです。

画像出典元:http://richwel.net/

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