鮭(サケ)と鱒(マス)その1


秋の魚の代表としては、やはり鮭ではないでしょうか。世界中で親しまれている鮭ですが、学術上ではサケ・マス科と呼ばれ、鮭と鱒の区別がありません。

私たちが普通「サケ」と呼んでいるのは「シロザケ」の事なんです。
他にレッドサーモンと呼ばれる「ベニザケ」や、キングサーモンと呼ばれる「マスノスケ」、「ギンザケ」、「サクラマス」、「カラフトマス」などがあります。

以上のサケ類は降海型に属していて、川で卵から孵化した稚魚が、川を下って海に出ます。海で豊富な餌によって成魚となり、元の川に戻って産卵します。

それでは鱒はどうなるのでしょう

マス(鱒、鮅)は、サケ目サケ科に属し、サケ類(シロザケ、ベニザケ、キングサーモンなど)と呼ばれる魚以外のサケ科をまとめて呼ぶときの総称となります。

<鮭と鱒とサーモン>

英語では
鮭はsalmon(サーモン)
鱒はtrout(トラウト)

鮭と鱒は海と淡水域の双方を生活圏とするという他の魚にはあまり見られない特殊性があります。

同じ種類でありながら、「川に残る個体(陸封型)」と「海に降りる個体(降海型)」に分かれます。

ヤマメ=サクラマス、ヒメマス=ベニザケ、ニジマス=スティールヘッドなどが、陸封型と降海型ですが、サケ類の順応性の高さから、簡潔に説明することは難しいようです。

※ ※ ※

北洋漁業が始まると、日本には分布しないサケ・マスも入ってくるようになり、漁業者はそれらをベニマス、ギンマスなどと呼び分けていたようです。

この時点ではサケだけが特別扱いされ、その他はすべて○○マスで統一されていました。

流通段階でマスよりサケのほうが高級感があるため、ベニザケ、ギンザケという名で販売されるようになったのです。それが定着して今日に至っています。

海外の呼び名のサーモンとトラウトが入ってくるとややこしくなります。

英語(イギリス語)でサーモンといえば、アトランティックサーモンだけを指すそうです。

米語(アメリカ語)でサーモンといえば、太平洋種の総称をいいます。
つまり日本語でいう海洋性のマス(カラフトマス)もサーモンです。

トラウトは淡水性のものだけに使います。

<鮭と鱒の違いについて>

1生態の違い説
シロザケやベニザケは川で生まれ海で育ちます。再び川に戻って産卵します。
ヒメマスやニジマスは川で生まれ生涯を川で過ごします。
と、一口には言えない事情があります。カラフトマスは一旦海に出るものもあるためです。

2大きさの違い説
川から出ないものは大型化せず、海に出るものは大型化するという説。
しかしカラフトマスのように海に出てもあまり大きくならないものもあるため、
正しい説とは言い切れません。

3身の色の違い説
鮭は赤い身ですが、実は白身魚に分類されます。それは海で鮭の餌となる甲殻類に含まれる色素が身を赤くするためです。スジコが赤いのもそのためです。
マスは普通の白身魚ですから、食べ物によって色が変わるというだけのことです。

4呼び名の違い説
何で鮭と鱒を分類するかとなると、つまるところ呼び名の違いになってしまいそうです。
私たちがイメージする鮭と鱒の違いには、厳密な種類分けはないのです。

この呼び名すら厳密な線引きはないのですが、日本における鮭の扱い方、海外におけるサケの扱い方など歴史的な要素が複雑に絡んでいるため、学説においても定説はいまだにありません。

※ ※ ※

日常で鮭と呼ばれるのは「シロザケ」のことですね。お歳暮などの新巻鮭は白鮭です。

スーパーなどで切り身や塩鮭、燻製にして売られるのは「紅鮭」という種類です。

刺身や寿司屋で生で食べるものを「トラウトサーモン」と呼んでいます。

トラウトサーモンとなると「サケマス」という、わけが分からなくなってしまいますが、これは商品名であって魚の種類ではないので安心してください。

最後にサケの俳句で締めくくりましょう

「鮭強し 子孫作りに 川上り」        吉川山頭火
「定置網 浜に干されて 鮭漁期」       山口丘刀
「新巻や 一点睨む 面構へ」         上月智子

 

新鮮な鮮魚が手軽に買える、サカマアプリ

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事