鱧(ハモ)


鱧は夏の到来を告げる魚です。鱧料理と言えばなんといっても一番有名なのは、京都です。祇園祭と鱧料理はセットと言ってもいいほど、相性ピッタリですね。鱧料理は京都の文化と言っても過言ではないでしょう。

京都ほど有名ではありませんが、大阪の天神祭にも鱧料理が欠かせないと言われます。

鱧料理は関西では夏の風物詩として知られています。鱧はほかの魚と違って、小骨が体全体にあるため、骨切をしないと食べられません。

料理屋さんでは鱧の骨切といって、まな板に乗せた鱧を包丁で、小骨だけを切る作業をしてから、湯煎して酢味噌や梅肉で食べるのが関西の普通の食べ方になっています。ほかには甘口のたれをつけて焼いて食べることもあるようです。この夏も是非賞味したい逸品です。

骨切を見ていると、鱧の小骨が「しゃ、しゃ、しゃ、しゃ」と小気味よい音をたて、心地よい響きが伝わります。板前さんの腕の見せ所ですね。

先日テレビを見ていると、「鱧の小骨切マシーン」が開発されたという報道があり、実際に鱧の小骨を切って実演していました。なるほど小気味よく疲れも知らずに一定の速さで調理できるのが機械のいいところですね。メーカーの人の顔も誇らしげでした。

機械は人間より正確に早く処理できるというくだりから、それでは職人と競ってみようじゃないかということになったのです。

そこに登場したのが京都の鱧料理の職人さんです。「機械に何ぞ負けるわけにはいかん」と、京職人の名誉にかけて戦うことになりました。

5匹の鱧の骨切作業がスタートしました。職人さんも負けていません。途中少し追い抜かれましたが、後半スピードを上げ挽回し、なんと、機械と職人さん同時にフィニッシュです。

出来栄えは見た目では職人さんのほうがきれいに見えました。さすが鱧職人の意地ですね。
機械は疲れを知りません。7分少々の間、神経を集中させた職人さんに頭が下がりました。
京都の鱧はこの番組を見た人たちからも、高く評価されることでしょう。

鱧はウナギやアナゴの仲間に属し、大きな口と鋭い歯が特徴です。海中ではエビやカニ、イカやタコなど動物性の魚介を捕食して成長します。

紀伊半島から西に生息し、日本海ではほとんど見られないようです。産地としては、和歌山県、徳島県、愛媛県、山口県、長崎県で漁獲されています。また、韓国や中国からも輸入され、価格は国産より安く手に入るようです。

鱧の旬は産卵を控えた6~7月あたりが最もおいしい時期です。そして価格も大変高くなります。8月には産卵が始まり鱧は痩せています。その後の9月に漁のピークを迎えますが、価格も下がります。

播州あたりでとれる鱧は、産卵後の旺盛な食欲のせいで、秋(10~11月)には身は肥えて脂も乗ってきます。このころの鱧は体が金色を帯び、「金鱧」「落ち鱧」と呼ばれ、再び旬を迎えることになります。

「骨切の 技を信じて 鱧料理」   稲畑汀子
「板前の 気風よかりし 祭鱧」   大橋麻紗子
「骨切の 音に旨さを 秘めし鱧」  稲畑廣太郎
「好きやねん 天神祭 鱧の皮」   坪内稔典

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