貝毒に要注意。 その2


さてさて前回は麻痺性貝毒というお話を綴りました。
それ以外に発生する毒として「下痢性貝毒」というものがあります。
生牡蠣を食べて3日3晩に渡り下痢が続いたという話を聞いたり、或いは体験したことがあるという方もいらっしゃるかと思います。
パエリアの具でお馴染みのムラサキイガイやホタテなどに発生する貝毒で、ディノフィシストキシン、ペクテノトキシンという成分が貝の中腸線に蓄積されます。
死亡事例はないとのことですが、ヒトの体内に入った毒性が抜けきるまでの間に続く下痢は非常に辛く、体内の水分も抜けきってしまい脱水症状になりやすくなります。
万が一なってしまったときは、病院で処方された薬定められた時間に服用し、こまめにスポーツ飲料を飲みましょう。
自然の貝に限らず養殖貝にも時期によって神経性・下痢性貝毒は蓄積されますが、出荷前に数日間に渡り紫外線を照射した海水を張った水槽に安置するなど、貝毒を完全に抜くことを行っています。
また牡蠣によくありますが、加熱用のものは絶対に生で食べることをやめてください。
生で食べるときは「生食用」のものを購入しましょう。
麻痺性・下痢性以外にも神経性や記憶喪失性(!!)などの貝毒がありますが、いずれも有毒プランクトンを摂餌して貝の体内に蓄積されることにより発生します。
さて世の中の貝には、有毒プランクトンで毒化された自身の体を武器にして最大限に利用しているものがあるのです。
イモガイという円錐状の貝で、貝殻が美しい模様なのでコレクターも多いです。
しかし「美しいものには棘がある」という諺どおりの貝で極めて凶暴、魚介類を積極的に襲います。
イモガイの口から返しがついた銛が発射され、刺さった魚介類は麻痺してしまいます。
麻痺した魚介類を食べるのですが貝自体の動きはゆっくりなのに、岩陰で待ち伏せして魚に向かって銛を発射するスピードは瞬間的な早さです。
この銛、コノトキシンという神経毒が含まれているのです。
人間もこの毒には太刀打ちできず、血清がないため死亡事故が世界中で起きています。
そんな恐ろしいイモガイですが、毒性分にはモルヒネの1,000倍強力な鎮痛作用を示す成分が含まれています。
2004年にアメリカではこの成分を医薬品に指定することが決定されており、麻酔の更なる進化が期待されています。
神経毒成分の一つペプチドには神経痛の緩和、神経細胞の回復を手助けしていることが確認されており、その他にもアルツハイマー、パーキンソン病、てんかんなどに有効性があるとして臨床実験中です。
毒も使い方によっては素晴らしい薬になるのですね。
2回に渡り毒・毒・毒の言葉がずらずら並んでしまいましたが、食べられないシーズンがあることと、中腸線を取り除いてから調理することなど正しく使用したら、美味しい貝料理が沢山あります。
私は原稿を書き終えたら、近所の魚屋さんでアサリを買ってきたいと思うのです。
画像出典元:http://yasuki.hamazo.tv/e4946413.html

 

貝毒に要注意。 その1

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